物毎(ものごと)に付け、拍子は有る物なれども、取り分き兵法の拍子、鍛錬なくしては及びがたき所なり。
まず、合う拍子を知って、違う拍子をわきまえ、大小・遅速の拍子の中にも、当たる拍子を知り、間(ま)の拍子を知り、背(そむ)く拍子を知る事、兵法の専(第一とすべき)なり。
この背く拍子わきまえずしては、兵法慥(たしか)ならざる事なり。兵法の戦いに、その敵々の拍子を知り、敵の思い寄らざる拍子をもって、空(くう)の拍子を知恵の拍子より発して、勝つ所なり。
(五輪書 地の巻 第八 「五輪書の術理探求」 武田重寿著)
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