何事かを教えるために一冊の本を書くのではない。読者に対して、自分のほうが上にあるということを誇示するために書くのではない。
本を書くということは、なんらかの事柄を通じて自己を克服しきったことの一種の証明である。古い自己を乗り越え、人間として新しく脱皮したことの証である。
それはしかし決して個人的な自己満足ではなく、同じ人間として自己を超克しえたという例を示すことによる、他の人々への励ましであると同時に、読者の現在の人生に対して謙虚に役に立とうとする奉仕の行いでもあるのだ。
(ニーチェの言葉II No.84 「人間的、あまりに人間的」 白鳥春彦編訳)
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