分類判定による仮説の立案と検証
プロファイリング、リーディングの話を聞いている人には、彼らが予言しているように聞こえているのだが、実は彼らがやっていることは常に分類判定による仮説定義にすぎない。
彼らにとっては仮説は外れても当たり前、外れてくれても真実に近づけると考えている。仮説を立案して仮説を検証するというルーチンこそ、彼らの技術であり、その能力は有効な仮説を立案するために、どれだけの関連知識と経験を持っているかにかかっている。
立派なスーツを着ている人は勝ち組で、破れた服を着た人は負け組と思ってしまうのは仕方ないことだ。
ほとんどの場合はそうだからである。詐欺師はこの分類を逆手に取って、人をだましてしまう。捜査員もプロファイラーも同じことで、最初はやはりだまされてしまう。しかし、彼らが最後までだまされ続けないのは、分類はあくまでも仮説にすぎず、検証しなければならないということを知っているからである。
そして、その知識はかつてだまされたことがあるとか、だます人間を知っているという失敗や経験に裏打ちされている。残念ながら、机上の知識だけでだまされないようにするのは難しく、やはり現場での経験が長いということは、それなりの評価されるべき価値があるのである(長く勤めていても、「仮説は検証しなければならない」ということを理解していない人も中にはいるが)。
知識やデータのクレンジングが重要だ
最後に、知識やデータのクレンジングの重要性について触れておきたい。知識やデータを駆使した経営は一見格好がいいが、その知識やデータが古かったり誤っていたりすると、こっけいなことになる。
データ野球が直感野球に負けることがあるのはこのためである。それと、例外に出合うことが少なければ少ないほど、人は既存の知識やデータを真実のものと誤解しやすくなる。仮説を検証することを忘れて、真実と区別がつかなくなるのだ。このようなことがないようにするには、組織の中で経験を共有することが大切である。知識、データは人が使い回すものであり、知識、データに人が決して振り回されてはいけない。
(ビジネス刑事の捜査技術 第11回 Amazonのリコメンド機能と天気予報は同じ ―捜査技術の第6条「捜査のプロは分類能力が極めて高い」 杉浦司氏)
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