2012年12月30日日曜日

不正調査の面談技法



・面接技法の基礎
 質問形式への配慮 開かれた質問(Open Questions、5W1H型)だけを使用する。閉じた質問(Closed Questions、Yes-No型、選択肢型)は特定の場合のみ使用する。

 段階的アプローチ(Stepwise Approach, Phase Approach) あらかじめ設定された面接の段階に従ってして質問を展開する。

 メタ意識:もう一人の自分が、話し手(自分)と聞き手の関係の変化を客観的に読み、話を展開する。

・段階的アプローチ
1. 事前準備
  案件に関係した事実の入手に十分な時間をかける
  対象者の人格、性格、履歴の分析

2. 導入段階(PHASE-1)
   自己紹介
  ラポールの確立(基本的な関係づくり) 雑談、場を温める、思いやりの言葉をかける
  相手に答える気になってもらう。話を聞いてもらえる相手と思ってもらう。
  面接の主題の確立(目的の説明) 
「・・・・・いくつかの質問にお答えいただくことでお手伝いいただけないかと思っているのですが、よろしいでしょうか?」と質問し、相手に「はい」と言わせ、自分の意思でコミュニケーションに参加してもらう手続を踏む。
相手の性格、しゃべり癖を観察する

3. 情報収集の為の質問(PHASE-2)
    ステップ1 自由報告「うながす」  相手に自由に語らせる
  ステップ2 オープン質問「掘り下げる」 自由報告で得られた情報についてさらに「開かれた質問」で説明を求める

4. 情報収集の為の質問(PHASE-3)
  ステップ3 特定的な質問「つっこむ
  ステップ4 選択肢による質問「もれを補う」 回答者が自発的に話していない内容について選択肢型の質問を行う

以上の段階で「どうも真実を語っていないようだ」と判断された場合は、以下の査定質問に移る。

5. 査定質問「ゆさぶりをかける
  センシティブな質問をなげかける。一般論を言って相手の反応を見る。「あなたの部署の誰かが、自分の行為を正当化して会社から物を盗む可能性があると思いますか?」「会社の資産を盗むことが正当化される場合があるのはなぜかと思いますか?」 

6. 自白させる「落とす
 犯人と確信されれば自白させる。

7. 締めくくりの質問
上記の5. 6. に至らない場合でも、聴取内容の要点を整理し再確認する。協力への感謝の意を伝える。できるだけ前向きな雰囲気で終えるようにする(次回の面接の為)。

(青山学院大学社会情報学部 大学院社会情報学研究所 教授 高木光太郎)

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