技法真髄 第五 手の業 その1
手と足と腰の、心よりの一致は心身を守るには最も必要な事で、さらに人を導くにも、また導かれるにも、手によってなされる。一方で導き、一方で倒す、これをよく理解しなければならぬ。敵が引こうとした時には、まず敵をして引く心を起こさしめ、引かすべく仕向ける。武術の鍛錬が出来てくると、敵よりも先に、敵の不足を満足さすべく、こちらから敵の隙、即ち不満の場所を見出して業をかける。この、敵の隙を見出すのが武道である。しかし、真の武道は、敵を殲滅するだけでなく、その敵対する所の精神を、敵自ら喜んで無くさしめる様に為さねばならぬ。和合の為に為すのが真の武道である。心身は水と火の妙の如し。体と精神とが一如となって和合する様、練磨怠るべからず。敵が我の(左)手首を取らんとすれば、左足を引き、取らんとする手をもって敵を導き、一方の手をもって首へ打ち下ろすべし。
手と足と腰の、心よりの一致は心身を守るには最も必要な事で、さらに人を導くにも、また導かれるにも、手によってなされる。一方で導き、一方で倒す、これをよく理解しなければならぬ。敵が引こうとした時には、まず敵をして引く心を起こさしめ、引かすべく仕向ける。武術の鍛錬が出来てくると、敵よりも先に、敵の不足を満足さすべく、こちらから敵の隙、即ち不満の場所を見出して業をかける。この、敵の隙を見出すのが武道である。しかし、真の武道は、敵を殲滅するだけでなく、その敵対する所の精神を、敵自ら喜んで無くさしめる様に為さねばならぬ。和合の為に為すのが真の武道である。心身は水と火の妙の如し。体と精神とが一如となって和合する様、練磨怠るべからず。敵が我の(左)手首を取らんとすれば、左足を引き、取らんとする手をもって敵を導き、一方の手をもって首へ打ち下ろすべし。